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結婚相談所 全国仲人連合会の本
(第5章)
出会えて良かった ― 全仲連で結婚された方たちの声

奇跡に近い『縁』
結婚相手を決める決断
出会いを大切に

一つ一つの出会いを大切に


「年齢を経てきた人たちは、一つ一つの出会いを大切になさいます」

Dさん、成婚時 五十五歳(当会支部長)、ご主人、六十一歳(銀行勤務)

Dさんは、現在五十六歳。実は彼女は当会の仲人さんでもあり、ここでお相手を見つけて再婚された方でもあります。
Dさんは二十一歳のときに恋愛結婚をされ、二人の息子に恵まれました。けれども、ご主人が次第に家庭内で暴力を振るうようになり、息子さんのすすめで四十歳のときに離婚されました。息子さんは高校入学を機に、「もう僕たちは大丈夫だから、お母さん心配しないで離婚して。でも、僕たちまでお母さんに付いていってしまうと、おやじがきっと見つけだしてしまうだろうから、お母さんの後を追わないよう、僕たちがおやじに付いて見守っていくよ」と言ってくれたのだそうです。
それからDさんは、ご自分でご商売をなさったりして生活しておられたのですが、ある日新聞広告をご覧になって応募され、仲人になられました。もともと人と触れ合うのが好きで、人のお世話をするのが大好きな方だったので、仲人には適任という方でした。彼女が五十三歳のときのことです。
このときはご自身が結婚するとはまったく考えておらず、むしろ、結婚はもうこりごりと感じていらっしゃったようです。でも、他の仲人さんから、「自分が幸せでなくては、会員さんを幸せにすることはできませんよ」と言われ、「結婚はまっぴら」といった考えから、「結婚してもいいかな」と考えるようになり、ついにはご自身も登録されることになりました。

現在のご主人は、そんなころにDさんの支部に入会されました。大手銀行に勤めていらっしゃる方で、間もなく定年を迎えるにあたり、残りの人生をともに過ごす伴侶を探していらっしゃったようです。やはり以前に結婚したものの離婚され、成人された子どもさんが二人いらっしゃいました。
最初は一般の会員さんと同じように、いろいろな人をご主人に紹介されていたDさんですが、ある日ご主人から「あなたとお見合いしたい」と言われました。彼はDさんが登録していらっしゃることを知っていたのです。Dさん自身も、ご主人に最初に会ったときに「もしかして、この人と結婚するかもしれない」という漠然とした予感はあったと言います。そこで、いちおう「自分が幸せでなくては」と言ってくださった仲人さんをたて、形ばかりのお見合いをしてひと月で結婚が決まりました。Dさん五十五歳、ご主人が六十一歳のときのことです。
ご主人には三十二歳の息子と二十八歳の娘。Dさんには三十二歳と三十歳の息子がいました。その子どもたちもみんな大喜び。年をとってからの一人暮らしは、もしも病に倒れてしまったときや、お風呂場で転んでそのまま動けなかったらといった不安と常に隣り合わせにあります。そういった懸念は、本人だけでなく、周囲も同じように持っていたようです。
「お父さんが一人でショボンとしているのは耐えられない。気に入った人と結婚したほうがいいよ」「Dさんが来てくださったおかげで、家のなかが一気に華やぎました」と、歓迎してくれ、Dさんの息子さんたちも「おふくろ、良かったねえ」と祝福してくれたそうです。

Dさんに結婚後の感想を聞いてみると、「いいものですね」といった答えが返ってきました。
「誰かがそばにいるというのは、いいものだと思います。きれいな花を見ても、『きれいねえ』と言うと、『そうだねえ』という答えが返ってきます。会員さんたちのお見合い場所を探すときも、主人はコンピュータができますから、『探してあげよう』と調べてくれますし、仕事のうえでもとても助かっているんです。独り暮らしのときは、食生活も“一人だからいいや”という感じで乱れていましたが、今は主人のこともありますから、健康にも気をつけるようになりましたね」
これまで、二人とも自分のリズムで生活してきたわけですから、ご主人との結婚の際には、お互い窮屈な思いをするのはやめようということで合意を得ていました。束縛しない、干渉しないという約束のもと、お二人とも現在はのびのびとした結婚生活を楽しんでいらっしゃるようです。
「恋愛結婚は、運が良ければいいけれど、悪く転べば危険だと思います。いったん好きになってしまえば『この人といっしょにいたい』という思いが先に立って、相手の本質が見えなくなってしまいます。そして結婚して熱が冷めたころに、潮が引くように相手の本質に気づくのです。でもその点、全仲連はプロフィールから入りますから、お相手の方の生活環境がわかります。ですから安心してお付き合いでき、それが恋愛に発展していくのです。離婚率が低いのは、そういう理由があるからだと思いますよ。満たされた条件で結婚するから、トラブルが少ないのです」(Dさん)

Dさんのもとには現在会員さんが十八人いらっしゃいます。一年がかりで誰もが覚えられる良い電話番号を取得され、ご自分の体験を話しながら、会員さんたちの相談にのっていらっしゃいます。でも、なにはともあれ、ご自身がここで良いお相手を見つけ、幸せになっていらっしゃるのですから、これはもうどんな会員さんをも納得させられる大きな強みです。
Dさんのところにいらっしゃる会員さんも、年齢が高い人は結婚が決まるのが早く、若い人ほどなかなか決まらないと言います。
「今は結婚適齢期なんてありませんから、皆さんのんびりしていて、女性は出産適齢期を過ぎるころになってあわてて入会される方が多いようです。ご両親も皇室の愛子さまをテレビや雑誌でご覧になっては、早くあんな孫の顔を見せてほしいとおっしゃる方が多いです。若い人は自分自身を知らない方が多いので、夢を追いがちです。でも、離婚したり年齢を重ねている人たちは自分を知っていますから、出会いを大事になさいます」
会員さんたちには、貴重な出会いから生まれる気持ちの大切さについても、折りを見ながら話しています。
「私は、どんなにピカピカの条件がそろっていても、この人と合うか合わないかは、会った瞬間にわかると思います。側にいて顔も見たくない人とは、いっしょに住みたいとは思わないでしょう。そういった気持ちは相手にも伝わります。自分が嫌だと思えば、相手も嫌だと思うものです。逆にこの人といっしょにいてもいいかなという思いもまた、相手に伝わります。そのときに、ポンと肩を押すのが仲人の仕事だと思うんです。気持ちはぜったいに相手に伝わるというのは、私自身の経験からも自信を持って言えることですね」


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* 著者である、全国仲人連合会 代表 宮原祐輔氏の了解を得て掲載しています。


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